トイレの水が「ゴポゴポ」と音を立てて、便器の水位が上がってきたかと思うと、少しずつ引いていく…。完全に詰まってはいないけれど、明らかに普段とは違う流れ方に、不安を感じていませんか？

ここで「少しずつ流れるから大丈夫だろう」と放置してしまうと、つまりが悪化して水が溢れ出したり、修理が大掛かりになったりする可能性もあります。しかし、落ち着いて原因を突き止め、正しく対処すれば、自力で解決できるケースも少なくありません。

この記事では、「トイレがつまったが少しずつ水が流れる」といった症状の原因から、自分でできる具体的な対処法、そして専門業者に依頼すべきケースまで、網羅的に解説します。突然のトイレトラブルに慌てず対応できるよう、ぜひ最後までご覧ください。

トイレがつまっても少しずつ水が流れる原因

トイレの水が完全に止まるのではなく、時間をかけてじわじわと流れていく。この現象は、排水路が完全に塞がっているわけではなく、「部分的に」何かが詰まっているサインです。

この「何か」の正体を知ることが、問題解決の第一歩となります。主な原因は、以下の4つのケースに分けられます。

水に溶けるトイレットペーパーなどがつまっているケース

最も一般的で、かつ解決しやすいのがこのケースです。トイレットペーパーや排泄物が、一度に流すには多すぎた場合、排水路の途中で一時的に滞留してしまうことがあります。

具体的には、以下のような原因が考えられます。

• トイレットペーパーの過剰使用
  節水型トイレの普及に伴い、一度に流せる水の量が減っています。そのため、従来と同じ感覚でトイGレットペーパーを大量に使うと、溶けきる前に詰まりの原因となることがあります。
• 「トイレに流せる」製品の誤解
  「トイレに流せるお掃除シート」や「流せる猫砂」などは、JIS規格で定められた基準を満たしてはいますが、トイレットペーパーに比べて水に溶けるのに時間がかかります。これらを日常的に使用していると、徐々に蓄積して詰まりを引き起こす可能性があります。
• 大便の硬さや量
  体調によっては、便が硬くなったり量が多くなったりすることがあります。これも、水の流れを妨げる一因となります。

幸いなことに、これらの「水に溶けるもの」が原因の場合、時間の経過とともに水でふやけて自然に解消されることも少なくありません。しかし、トイレのつまりが長引くような場合は、水道業者に点検を依頼することをおすすめします。

トイレの中に固形物を落としてつまっているケース

次に深刻なのが、水に溶けない「固形物」を誤って流してしまったケースです。この場合、自然に解消することはほぼ期待できず、放置すると事態が悪化する可能性が非常に高いです。

具体的には、以下のような原因が考えられます。

• スマートフォン、おもちゃなど
  スマートフォンがポケットや胸元から、トイレに滑り落ちてしまうケースも多く報告されています。また、特に子供がいるご家庭では、おもちゃを面白がって便器に入れてしまうことも考えられます。
• オムツ、生理用品
  これらは吸水性が非常に高く、水を吸って膨張するため、排水管を完全に塞いでしまう最悪のケースにつながります。絶対に流してはいけません。
• ボールペン、メガネ、カイロなど
  日常生活で使う小物をうっかり落としてしまうことも、珍しくありません。気が付かずにトイレを流すと、トイレがつまる原因になります。
• 食べ残しや油
  食べ残しをトイレに流す習慣がある場合、特に油分は冷えて固まり、排水管の内部に付着して徐々に通り道を狭めていきます。

固形物が原因の場合、「少しずつ流れる」のは、その物の隙間を水が辛うじて通り抜けているためです。ラバーカップ（スッポン）などを使うと、かえって奥に押し込んでしまい、取り出すのが困難になることもありますので注意が必要です。

タンクから流れる水量が少ないケース

詰まりの原因が便器や排水管ではなく、トイレの「タンク」側にある可能性も考えられます。流す水の勢いが弱かったり、量が少なかったりすると、排泄物を十分に押し流すことができず、詰まりのような症状を引き起こすのです。

具体的には、以下のような原因が考えられます。

• タンク内の部品の不具合
  ボールタップやフロートバルブといった、タンク内の水位を調整する部品が劣化・故障すると、タンクに十分な水が溜まらなくなります。
• 節水目的の異物
  ペットボトルなどをタンクに入れて節水しようとすると、部品の動きを妨げてしまい、正常な水量を確保できなくなることがあります。
• 止水栓が十分に開いていない
  何らかの理由で止水栓（壁や床から出ている給水管のバルブ）が少ししか開いていないと、タンクに水が溜まるのに時間がかかったり、十分な量が供給されなかったりします。

このケースでは、タンクのフタを開けて中の水位を確認することで、ある程度の判断が可能です。普段より水位が低い場合は、水量が原因である可能性が高いでしょう。

排水管の汚れによってつまっているケース

長年使用しているトイレでは、目に見えない排水管の内部に問題が潜んでいることがあります。便器の中はきれいに見えても、その先のパイプが狭くなっていれば、水の流れは悪くなります。

具体的には、以下のような原因が考えられます。

• 尿石の蓄積
  尿に含まれるカルシウムなどが、時間をかけて石のように硬化したものが「尿石」です。尿石は非常に硬く、市販の洗剤ではなかなか落ちません。これが排水管の内側に付着し、徐々に層を厚くしていくと、水の通り道が狭くなってしまいます。
• 油汚れや水垢
  前述の通り、油分は排水管に付着しやすいです。また、日々の水垢なども蓄積することで、詰まりの原因となり得ます。
• 木の根の侵入
  戸建ての場合、庭木の根が地中の排水管に侵入し、詰まりを引き起こすという稀なケースもあります。

これらの原因は、ご家庭での特定や対処が非常に困難です。様々な対処法を試しても改善しない場合は、排水管の内部に問題がある可能性を疑う必要があります。

トイレがつまっても少しずつ水が流れる時は放置でOK？

「少しは流れるんだから、そのうち直るかも」と期待してしまう人も多いかもしれません。しかし、その判断は詰まりの原因によって大きく異なります。

誤った判断は、事態を悪化させるだけでなく、修理費用が高額になる原因にもなりかねませんので注意が必要です。

「水に溶けるもの」がつまってるときは放置でOK

トイレットペーパーや排泄物など、明らかに水に溶けるものが原因だと確信できる場合は、数時間放置することで自然に解消される可能性があります。

放置で直るメカニズム

水に浸っている時間が長くなることで、トイレットペーパーや便がふやけて崩れやすくなり、水の流れと共に押し流されていきます。

放置する場合の目安

2～3時間程度様子を見てみましょう。便器内の水位が少しでも下がっていくようなら、解消に向かっているサインです。一晩放置すれば、軽度の詰まりであれば解消されていることも多いでしょう。

ただし、これはあくまで「軽度の詰まり」の場合です。大量に流しすぎて固く詰まってしまっている場合は、放置だけでは解消しないこともあります。

「水に溶けないもの」がつまっているときは放置NG

一方で、スマートフォンやおもちゃ、オムツといった固形物が原因の場合は、絶対に放置してはいけません。 時間が経っても状況が好転することはなく、むしろ以下のようなリスクを高めるだけです。

• 完全な詰まり
  無理に水を流そうとすると、固形物がさらに奥で引っかかり、完全に排水路を塞いでしまう可能性があります。
• 汚水が逆流する
  排水路が塞がった状態で水を流すと、行き場を失った汚水が便器から溢れ出し、床や家財を汚損する大惨事につながります。
• 階下への水漏れ
  マンションやアパートの場合、溢れた汚水が階下の部屋にまで被害を及ぼす可能性があります。こうなると、損害賠償問題に発展するケースも少なくありません。
• 悪臭の発生
  詰まりを放置すると、排水管から下水の悪臭が上がってきて、トイレ空間全体が不快な臭いに包まれてしまいます。

「何か固いものを落としたかも…」という心当たりがある場合は、すぐに使用を中止し、トイレ修理の専門業者に相談することを強く推奨します。

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トイレがつまったが少しずつ流れる時の対処法

原因が「水に溶けるもの」であり、自力で対処できそうだと判断した場合、いくつかの効果的な方法があります。ここでは、ご家庭で試せる5つの対処法と、やってはいけない注意点を詳しく解説します。

なお作業前には、床に新聞紙やビニールシートを敷き、ゴム手袋を着用するなど、汚れても良い準備をしておきましょう。

対処法①：バケツ等ででぬるま湯を流す（熱湯NG）

最も手軽で、軽度の詰まりに効果的な方法です。トイレットペーパーや便は、水よりもお湯の方がふやけやすく、溶けるのを促進する効果が期待できます。

手順

1. 便器内の水を汲み出す：便器の水位が高い場合は、給油ポンプや紙コップなどを使って、ラバーカップのゴム部分が浸るくらいの高さまで水を汲み出します。
2. ぬるま湯を用意する：40℃～60℃程度のぬるま湯をバケツに用意します。絶対に熱湯は使用しないでください。陶器製の便器は急激な温度変化に弱く、ひび割れや破損の原因になります。給湯器の設定を50℃にするか、沸騰したお湯と同量程度の水を混ぜると、おおよその適温になります。
3. ゆっくりと注ぐ：腰くらいの高さから、水面が跳ねないように注意しながら、便器の排水口をめがけてゆっくりとぬるま湯を注ぎ入れます。
4. 1時間ほど放置する：ぬるま湯の効果で詰まりの原因がふやけるのを待ちます。
5. 確認する：バケツに水を汲み、少量ずつ流してみて、水位が上がってこなければ詰まりは解消です。

対処法②：重曹・クエン酸を利用してトイレつまりを直す

お掃除でもおなじみの重曹とクエン酸（またはお酢）は、その化学反応を利用して詰まりを解消するのに役立ちます。アルカリ性の重曹と酸性のクエン酸が混ざることで発生する炭酸ガスの泡が、詰まった汚れを浮かせて剥がしやすくします。

手順

1. 準備：重曹（1/4カップ程度）、クエン酸（1/2カップ程度）、40～60℃のぬるま湯を用意します。
2. 投入：便器の排水口に、必ず「重曹→クエン酸」の順番で投入します。この順番を間違えると、発泡効果が十分に得られません。
3. ぬるま湯を注ぐ：上からゆっくりとぬるま湯を注ぎ、発泡を促します。シュワシュワと泡立つのを確認してください。
4. 1時間ほど放置する：便座のフタを閉めて、泡の力で汚れが分解されるのを待ちます。
5. 確認する：バケツで水を流し、スムーズに流れるか確認します。

この方法は、尿石などのアルカリ性の汚れにもある程度の効果が期待できますが、固形物には全く効果がないので注意してください。

対処法③：ラバーカップ（スッポン）でトイレつまりを直す

詰まり解消の定番アイテム、ラバーカップ。正しく使えば、非常に高い効果を発揮します。押す力ではなく、「引く力」で詰まりを解消するのがポイントです。

手順

1. 水位の調整：便器の水位が低い場合は水を足し、ラバーカップのゴム部分が完全に水に浸かるように調整します。水が多すぎる場合は汲み出してください。
2. 密着させる：排水口にラバーカップをゆっくりと、隙間ができないように完全に密着させます。
3. ゆっくり押し込み、勢いよく引く：カップの中の空気を押し出すように、ゆっくりと体重をかけて押し込みます。そして、詰まりを引っ張り出すイメージで、勢いよく手前に引きます。
4. 繰り返す：「ゴボゴボッ」という音がして、水が引いていく感触があるまで、この「押して引く」動作を数回繰り返します。
5. 確認する：詰まりが解消されたら、バケツで水を少量流して確認します。

ポイント：作業中は水が飛び散りやすいため、便器を大きなビニール袋で覆い、その中央に穴を開けてラバーカップの柄を通すと、周囲への汚染を防げます。

対処法④：ワイヤーブラシでトイレつまりを直す

ラバーカップでも解消しない、やや奥で詰まっている場合に有効なのが「ワイヤーブラシ（パイプクリーナー）」です。先端がブラシやらせん状になっており、物理的に詰まりを削り取ったり、押し流したりします。

手順

1. 挿入する：ワイヤーブラシの先端を、便器の排水口にゆっくりと挿入していきます。便器を傷つけないように、慎重に作業してください。
2. 詰まりに当てる：ワイヤーを進めていくと、硬い感触や抵抗がある場所が見つかります。そこが詰まりの箇所です。
3. 削り取る・押し流す：詰まりに当たったら、ハンドルを回したり、ワイヤーを前後に動かしたりして、詰まりを崩していきます。
4. 引き抜く：詰まりが解消された感触があれば、ゆっくりとワイヤーブラシを引き抜きます。
5. 確認する：バケツで水を流し、正常に流れるか確認します。

ワイヤーブラシは強力な分、誤った使い方をすると便器や排水管を傷つける恐れがあります。力任せに操作するのは絶対にやめましょう。

対処法⑤：水に溶けない固形物がつまっている場合はゴム手袋

スマートフォンやおもちゃなど、目に見える範囲に固形物が詰まっている場合は、直接手で取り出すのが最も確実です。

手順

1. 止水栓を閉める：万が一水が流れてしまわないように、必ず止水栓を閉めます。
2. ゴム手袋を装着：衛生面を考慮し、肘まで隠れるような長めのゴム手袋を装着します。
3. 手を入れて取り出す：便器の排水口にゆっくりと手を入れ、慎重に固形物を取り出します。このとき、絶対に奥へ押し込まないように注意してください。

もし、手を入れても届かない場合や、取り出せない場合は、無理をせず専門業者に依頼してください。便器を取り外すなどの専門的な作業が必要になります。

注意点：パイプユニッシュはトイレつまりに効果なし！

キッチンの排水口などで活躍する「パイプユニッシュ」ですが、トイレの詰まりにはほとんど効果が期待できません。

パイプユニッシュの主成分である水酸化ナトリウムは、髪の毛や油、石鹸カスといった「タンパク質汚れ」を溶かすのが得意です。しかし、トイレ詰まりの主な原因であるトイレットペーパー（紙類）や排泄物を溶かす力はほとんどありません。

むしろ、酸性の洗剤（尿石落としなど）と混ざると有毒なガスが発生する危険があり、非常に危険です。トイレがつまった際の、パイプユニッシュの安易な使用は絶対に避けてください。

自力でトイレつまり解消が難しい場合はトイレ業者に相談

これまで紹介した方法を試しても詰まりが解消しない場合や、原因が特定できない場合は、無理せず専門の水道業者に相談することをお勧めします。特に、以下のようなケースでは、専門的な知識と技術、専用の機材が必要となります。

• 固形物を流してしまい、自力で取り出せない
• 紹介した対処法をすべて試しても改善しない
• 詰まりの原因が全く分からない
• 賃貸物件で、下手に触って悪化させるのが怖い
• 排水管の奥深くで詰まっている可能性がある

プロに依頼すれば、高圧洗浄機やトーラー（業務用ワイヤーブラシ）といった専門機材を使い、迅速かつ確実に詰まりを解消してくれます。また、原因を正確に特定し、再発防止のためのアドバイスをもらえるというメリットもあります。

費用はかかりますが、自力で悪化させてしまい、結果的に高額な修理費がかかるリスクを考えれば、水道業者やトイレ修理の専門業者へ依頼するほうが賢明な選択と言えるでしょう。

トイレのつまりを直すなら水道テックへ

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また「水道テック」では、トイレの詰まり改善だけでなく、水回り全般の水漏れトラブル、排水管まわりの修理・交換にも対応しているため、水回りのお困りごとをまるごとお引き受けすることが可能です。兵庫県でのトイレつまりの修理を検討される方は、ぜひ一度「水道テック」までご相談ください。