「賃貸住宅のキッチンで水漏れした時は誰の責任なの?」や「賃貸のキッチンで水漏れした時は自分で直していいの?」といった疑問を持ったことがある人は多いのではないでしょうか。
賃貸住宅における水漏れは、大家さんの責任になるケースが多いものの、キッチンのように日常的に使用する箇所については、使用者つまり借主の責任として判断されることもあるため、混乱しがちです。
そこでこの記事では、水漏れ修理のプロが初心者に向けて「賃貸におけるキッチンの水漏れ」について、責任の所在や応急処置を含めた対処法を分かりやすく解説します。
目次
賃貸物件で水漏れした時の責任
賃貸住宅における水漏れの責任は、貸主(大家さん)または借主の両者に責任があると考えましょう。
一般的な賃貸借契約においては、水漏れ箇所や水漏れの原因によって、その責任を明確にすることを目的にした賃貸契約書が交わされるため、賃貸借契約書の内容によって責任の所在が決まります。
ほとんどの場合、対象となる賃貸住宅の共有部(バルコニーや廊下、屋根裏など)で起きた水漏れは貸主の責任となる一方、キッチンやトイレといった専有部での水漏れは借主の責任になる可能性があります。
ただし、キッチンやトイレ、さらにはお風呂といった専有部で水漏れした場合であっても、借主に過失がないケース、例えば経年劣化や老朽化、工事の不備などが原因の場合は、貸主の責任となります。
このように、賃貸物件で水漏れした場合の責任は、概ね貸主である大家さんが負うことになると言えますが、賃貸借契約書の内容によってはその限りでないことを知っておかなければいけません。
賃貸物件では自分で修理しないのが鉄則
賃貸住宅のキッチンなどで水漏れした場合、自分で修理したり、自分で水漏れ修理業者に修理を依頼したりすることは控えましょう。
この理由は、管理会社や大家さんが契約している専属の業者があるかもしれないこと、さらには、自分で修理(または修理を依頼)した場合、貸主に報告義務を怠ったと判断されて、借主が不利になるかもしれないためです。(修理費用を負担してもらない)
従って、賃貸住宅に住んでいる場合は、あらかじめ賃貸借契約書に記載されている水漏れ時の対応をよく確認すること、そして緊急時は何よりも先に管理会社や大家さんに相談することが大切です。
賃貸住宅で水漏れした時のトラブルの事例について知りたい方はこちら
賃貸のキッチンで水漏れした時の応急処置
賃貸のキッチンで水漏れした時は、応急処置として以下のことを講じるようにしましょう。
- 止水栓または元栓を閉める
- 養生する
- 水気を拭き取って乾燥させる
- 管理会社や大家さんに連絡する
上記について解説します。
止水栓または元栓を閉める
まずは「止水栓または元栓を閉める」ことをおすすめします。これにより、キッチンへの水の供給が止まり、さらなる水漏れ被害を抑えられます。
止水栓は蛇口と繋がっている給水管の途中に付いているハンドル式またはネジ式の開閉栓で、キッチンの水だけを止められるのに対し、元栓は水道メーター付近にあることがほとんどで、室内すべての水が止まります。
なお、止水栓または元栓を閉めている間は、水が使えなくなるため注意してください。
養生する
次に「養生する」ことが大切です。タオルや雑巾、シートなどを使って漏れた水が広がらないようにしましょう。
養生することでキッチン下収納や床の損傷を最小限に抑えられるほか、退去時の原状回復を巡るトラブルを回避しやすくなります。
水気を拭き取って乾燥させる
応急処置として「水気を拭き取って乾燥させる」ことも重要です。とくに、キッチン下収納が濡れたままだと、腐食や木材の浮きなどが生じる可能性があり、退去時に修繕を求められる可能性があります。
水漏れが発覚した時点で、水気を拭き取って乾燥させることを忘れないようにしましょう。
管理会社や大家さんに連絡する
応急処置の一環として最も大切なことが「管理会社や大家さんに連絡する」です。水漏れが起きたことを報告することで、修理の手配や費用負担、そして借主に責任がないと判断してもらいやすくなります。
賃貸の場合、借主の勝手な判断がトラブルの元になることもあり得ますので、管理会社または大家さんに報告し、判断を仰ぐことを忘れないようにしましょう。
【場所別】賃貸のキッチンで水漏れした時にやるべき対処法
賃貸のキッチンで水漏れする箇所は、蛇口、排水管、そしてシンクの3箇所です。それぞれでやるべき対処法を覚えておきましょう。
蛇口まわりの水漏れ
キッチンの蛇口で水漏れする場合、パッキンの劣化やナットの緩み、さらにはバルブカートリッジの不具合といったことが原因ですので、部品交換が必要になります。
キッチンの蛇口から水漏れするケースでは、漏れた水が壁や床下収納に伝わってしまう可能性があるため、蛇口周辺をタオルや雑巾で覆う、またはキッチンを使用しない間は止水栓を閉めるといった対処が有効です。
排水管周辺の水漏れ
キッチンの排水管周辺で水漏れする場合は、排水管内部の詰まりや破損が原因ですので、排水管の清掃や排水管の交換といった作業が必要になります。
自分でできることとしては、市販の排水管クリーナーやワイヤーブラシなどを使って排水管内部を掃除することや、排水管の下にバケツを置いて水漏れが広がらないようにするといったことに限られます。
また、排水管の損傷であれば、ダクトテープやビニールテープを巻き付けることで、一時的な対処が可能です。
シンクの水漏れ
キッチンのシンクで水漏れする場合は、シンクと排水管の接続部分が緩んでいることや、接続部分のパッキンが劣化していることが原因のため、パッキン交換や排水管交換といった作業が必要になります。
なかには、埋め込み型のシンクで、シンク周りのシーリング材が劣化して水漏れすることもありますが、自分でできることとして、水漏れが広がらないようにバケツを置いたり、シートを敷いたりすることで対処します。
賃貸のキッチンで水漏れを防ぐためにできること
賃貸のキッチンなどで水漏れしてトラブルになることは十分に想定されます。貸主と借主の間でトラブルが起きないようにするためにも、以下の水漏れ予防策を心がけましょう。
- 固形物を流さない
- 定期的な清掃
- キッチン下収納に物を詰め込まない
それぞれ解説します。
固形物を流さない
キッチンで水漏れを防ぐには「固形物を流さない」ことが大切です。具体的には、食材カスをはじめ、油、髪の毛、石鹼カス、キッチンペーパーなどが該当します。
固形物を流してしまうと排水管内部で詰まりが起こって、排水が逆流するようにして溢れて水漏れしてしまいます。
排水口にネットを装着するなどして、固形物が排水管に流れないように工夫してください。
定期的な清掃
「定期的な清掃」もキッチンの水漏れを防ぐために有効です。例えば、市販されている排水管クリーナーや、ワイヤーブラシ、さらにはラバーカップ(スッポン)などを使って排水管内部を清掃しましょう。
費用がかかってしまいますが、業者に依頼して、排水管内部をプロの道具を使って洗浄してもらうこともおすすめです。
キッチン下収納に物を詰め込まない
キッチンの水漏れを防ぐためには「キッチン下収納に物を詰め込まない」ことも有効です。これは、キッチン下収納に置いてあるフライパン等の物によって排水管が損傷してしまうのを避けるのにおすすめです。
とくに、排水管代わりに蛇腹ホースが使われている賃貸住宅などでは、キッチン下収納での破損リスクが高くなってしまいますので、物の詰め込み過ぎには注意しましょう。
緊急時は水漏れ修理業者に相談するのがおすすめ
賃貸のキッチンで水漏れした場合は、ひとまず応急処置として止水栓や元栓を閉め、養生したうえで、管理会社や大家さんに連絡して指示を仰ぎましょう。
一方、大型連休や年末年始などは、管理会社や大家さんに連絡がつかないかもしれません。その間は、キッチンを使用できない事態に陥る可能性があるため、水漏れ修理業者に相談することをおすすめします。
多くの水漏れ修理業者は、管理会社や大家さんの許可なく修理するケースを経験しているため、借主にとって最善策を提案してくれるでしょう。
なかには、本格的な修理をせず、数日間の使用に耐えうる補強だけを対応してくれるかもしれませんので、緊急時は水漏れ修理業者に相談することをおすすめします。
まとめ
賃貸のキッチンで水漏れした場合は、応急処置を講じたうえで、管理会社や大家さんに報告し、修理に向けた指示を仰ぐようにしましょう。
賃貸物件の場合、借主の勝手な判断によって管理会社や大家さんとトラブルに発展する恐れもありますので、報告を優先してください。
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